鶏の首肉(雞脖子)

ロードサイドのレストランでで鶏肉スープを注文したら、スープの中に「雞脖子」(鶏の首肉)が入っていました。繊細な肉質とスープの深い旨味が絶妙に調和していて、とても美味しいものでした。

鶏の首肉は、日本では馴染みが薄い部位かもしれませんが、中国やマレーシアなどでは昔から愛されている食材の一つです。鶏の首部分は肉が少ないものの、その骨周りの肉は非常に柔らかく、噛むほどに旨味が広がるのが特徴です。また、骨付きの食材を食べることは、スープ全体に深みを与える効果もあります。そのため、鶏の首肉がスープに入っているのは、単なる具材以上の役割を果たしているのです。

東南アジアでは、鶏のさまざまな部位を無駄にせず調理する文化が根付いています。これは、一つには食材を大切にするという精神から来ています。また、鶏全体を使った調理法は、肉質や部位ごとの異なる味わいを楽しむためでもあります。ペナンの多民族社会では、マレー、華人、インド系の食文化が融合し、こうした「全ての部位を味わう」という哲学が受け継がれています。

鶏の首肉は特に華人料理でよく使われ、麻辣味の炒め物やスープの具材として親しまれています。ペナンでは、これをローカル風にアレンジして、薬膳スープや家庭的な煮込み料理として提供されることも少なくありません。こうした料理は、地元の人々にとって懐かしさや家庭の味を思い出させる存在でもあります。