Betong(べトン)からタイ旅行

ペナンに住んでいると、タイへの旅行がとても簡単です。特にペラ州との州境に近いBetongは、タイ南部のユニークな観光地として知られています。ここへの旅は車を使うのが一般的で、マレーシアからタイへの国境を越える際にいくつかの選択肢があります。

ペナンからBetongまでは車で約2時間の距離です。道路は比較的整備されており、美しい景色を楽しみながらドライブできます。国境に到着したら、そのまま自分の車でタイに入ることも可能です。ただし、国際運転免許証やマレーシアの免許証(タイでも運転できます)が必要で、車両の書類手続きも行う必要があります。もしこれが面倒だと感じる場合、国境近くの駐車場に車を停めて、タクシーでBetongの町まで移動する方法もあります。この場合、イミグレーションを超えるための手続きは徒歩で行い、タクシーは国境のタイ側で待っています。タクシーでの移動時間は約20~30分程度です。

Betongの名は、マレー語で「竹」を意味し、竹が豊富な土地であることから名付けられました。この地域には長い歴史があり、主に中華系とマレー系の住民が定住してきました。

中華系住民は、19世紀末から20世紀初頭にかけて中国南部から移住してきた人々が中心です。彼らの多くは商業活動やゴム農園の労働者としてやってきました。現在も中華系の文化が色濃く残り、伝統的な中華料理や寺院を見ることができます。一方、マレー系住民は元々この土地に住んでいた先住民族や移住してきたマレー人から成り立ちます。彼らの文化や生活は、特にBetong周辺の自然環境と密接に結びついています。

また、Betongはかつて共産主義運動の拠点の一つとしても知られています。タイの歴史の中で、この地域はマレーシア国境に近い戦略的な位置にあり、軍事的・政治的な重要性を持っていました。現在では、穏やかな観光地として多くの旅行者を引きつけています。

Betongの旅では、温泉や美しい竹林、そしてBetong Clock Towerといった観光スポットを楽しむことができます。また、地元の市場で特産品を購入するのも魅力の一つです。ペナンから少し足を伸ばして訪れる価値のある目的地です。

天宮(Tian Kong)

ペナンを訪れると、時々中華系マレーシア人がお祈りしている光景に出くわすことがあります。その中でも特に目を引くのが「天宮」に対する祈りです。天宮とは何か、そしてその背後にある歴史や文化について深掘りしてみましょう。

天宮は、特定の宗教に限定されるものではなく、広く多くの文化で見られる宇宙観の一部です。中国の伝統文化において、天宮は神々が住む場所、すなわち宇宙の中心として古代から語り継がれてきました。神話の中では、天宮は天帝や仙人が暮らす理想郷として描かれ、時代とともに儒教や道教の影響を受け、道徳や哲学的な意味も含むようになりました。

ペナンの中華系マレーシア人が天宮を崇拝する背景には、この中国から伝わる信仰が根付いています。彼らは「天公」として天帝を崇め、天地を司る最高神に一年の平安や健康、幸運を祈願するのです。特に旧正月の時期には盛大に「拜天公」(バイテンコン)と呼ばれる儀式が行われ、多くの中華系家庭で天宮への感謝と祈りが捧げられます。

天宮の概念は中国だけでなく、他の多くの文化にも見られます。例えば、インド文化では「天界」として、またイスラム文化では「天国」、北欧神話には「アスガルド」といった類似の概念が存在します。これらは全て、人間が理想郷を追い求め、超越した世界に憧れるという普遍的な思想に根ざしているのです。

歴史的に見ても、天宮の概念は古代から中世、そして現代に至るまで進化を遂げてきました。古代では、天文学と関連付けられ、天上の星々が神々の住まいとされていました。中世になると、宗教的な色合いが強まり、天宮は魂が天に昇るための聖なる場所として信じられました。しかし、近代に入ると、科学の発展により、天宮は次第に宗教的な意味合いを失い、文化的な象徴としての役割が強まりました。

ペナンでは、このような伝統的な信仰が日常の中で息づいており、訪れる人々にとっても深く興味を引く一面となっています。天宮への祈りは、ただの宗教儀式にとどまらず、彼らの精神的なつながりや家族への愛、地域社会への感謝を表す重要な習慣なのです。

クコの実(枸杞子)

ペナンを訪れる際、中華料理を楽しむ中で、時折、スープに赤い小さな実が浮かんでいるのを目にすることがあります。それが枸杞子(クコの実)です。枸杞はその鮮やかな赤色とほのかな甘みで、スープやおかゆ、さらにはデザートにまで使用されることが多い、特別な食材です。しかし、単なる飾りではありません。その背後には、何千年にもわたる歴史と豊かな効能が秘められています。

枸杞の利用は古代中国にまで遡り、その歴史は実に2000年以上にも及びます。漢方医学では、枸杞は目の健康を保つ効果があるとされ、また血流を促進し、免疫力を高める重要な薬膳素材として用いられてきました。「不老長寿の実」とも呼ばれるこの果実は、特に体力回復を目的としたスープやお茶に欠かせない存在でした。このような伝統が、シルクロードを通じて広まり、やがてさまざまな地域の食文化や薬に取り入れられるようになりました。

ペナンでは、移住してきた中国系の人々が枸杞をはじめとする薬膳文化を持ち込みました。現在でも、地元の家庭料理やレストランでその存在感を発揮しています。特に薬膳スープや滋養料理を提供するレストランでは、枸杞の風味と効能を存分に味わうことができます。例えば、鶏肉や豚骨のスープに枸杞を加えると、その甘みが素材の旨味を引き立てるだけでなく、体に優しい一杯として仕上がります。

現代の栄養学の視点から見ても、枸杞はまさに”スーパーフード”と呼ぶにふさわしい存在です。ビタミンAやビタミンC、鉄分、亜鉛、アミノ酸を豊富に含み、抗酸化作用によるアンチエイジング効果や免疫力向上、視力維持など、多岐にわたる効能が確認されています。特に忙しい日常を過ごす現代人にとって、手軽に健康をサポートしてくれる枸杞は非常に魅力的です。

ペナンで枸杞入りの料理を楽しむなら、地元の薬膳料理専門店や中華料理店を訪れるのがおすすめです。一杯のスープに込められた古代の知恵と健康への配慮に思いを馳せながら、深い味わいを堪能するのも旅の醍醐味と言えるでしょう。ペナンの中華料理は、単なる美味しさだけでなく、食べる人の健康を気遣う文化そのものを体験させてくれます。その中で出会う枸杞の赤い輝きが、旅の思い出をさらに彩ってくれるはずです。

Fish Skin Chips(魚の皮チップス)

ペナンでよく目にする料理のひとつ、魚の皮チップス(クリスピー・フィッシュ・スキン)は、地元の人々や観光客にも人気の高いスナックです。このチップスは、その独特の食感と風味で、多くの人を魅了してきました。魚の皮を使用したスナックは意外に思えるかもしれませんが、元々は中国南部の潮州や仏山地域で発展した食文化の一部で、ペナンにおける多様な料理の中で、ひときわユニークな存在感を放っています。

魚の皮チップスとは、魚の皮を洗浄し乾燥させた後、高温の油で揚げることで、外はカリッと、中は噛みごたえのある食感を生み出したものです。魚の種類としては、特に鱸(スズキ)やムギツクの皮が用いられ、ペナンの屋台やレストランでは、シンプルな塩味やピリ辛の調味料を加えたバリエーションが提供されています。揚げた後、表面には黄金色と黒みがかった独特の色合いが出て、目でも楽しめるスナックとなっています。この一口サイズのチップスは、屋台での手軽なスナックとして味わえるだけでなく、袋入りのスナックとしても販売されており、お土産としても人気があります。

この魚の皮チップスには、長い歴史があり、元々は中国の潮汕(潮州)や仏山地域で生まれたものです。漁業が盛んな地域では、資源を無駄なく使い切るという思想があり、魚の皮のような一見捨てられてしまう部分も、有効に活用する工夫が行われていました。こうした文化背景の中で、魚の皮をカリカリと揚げたチップスが小さなスナックとして人々に楽しまれ、次第にその地域の伝統的な料理のひとつとして親しまれるようになりました。その後、中国からの移民が多いペナンにもこの食文化が伝わり、地元の人々の屋台文化や食の好みに合う形で根付いていったと考えられます。

ペナンで食べられる魚の皮チップスは、中国の伝統料理を受け継いでいる一方で、ペナンの多文化的な背景の中で独自の発展を遂げてきました。もともと魚の皮は、日本やヨーロッパなどでは食べられないことが多い部位でしたが、潮汕や仏山といった地域では、魚の皮の栄養価に注目し、その栄養を活かすために工夫された料理としてチップスが発展しました。特に魚の皮にはコラーゲンが豊富に含まれており、地元では美容や健康に良いとされ、人気の要因のひとつとなっています。

ペナンでの魚の皮チップスの食べ方にはいくつかのスタイルがあり、単品としてそのままスナック感覚で楽しむ方法から、火鍋のトッピングや麺料理に添えられることもあります。サクサクした食感が、スープやタレと合わさって、また違った風味を引き出す役割を果たしています。ペナンの屋台文化の発展も、この魚の皮チップスの人気に貢献しています。屋台では、手軽に揚げたてのチップスを提供することができ、多くの人々にとって身近なスナックとなりました。

また、ペナンの地元食文化において、この魚の皮チップスがどのように定着していったのかを知るのは興味深いことです。ペナンは歴史的に中国からの移民が多い地域で、彼らが持ち込んだ食文化が、現地の料理や屋台の風景を豊かにしてきました。中国料理には、食材を無駄なく使い切ることを重視する伝統があり、魚の皮を揚げて食べるという発想も、その一環と言えるでしょう。ペナンの温暖な気候と豊富な海産物の供給も、このスナックが現地で根付く要因のひとつになったかもしれません。

CUCKOOのIPO

2024年10月末にIPO申請をしたCUCKOO(マレーシアでは「コックー」と発音されることが多い)は、マレーシアで広く知られるブランドであり、成長著しい企業です。キッチン家電の販売を起点とし、健康をテーマに浄水器、空気清浄機、エアコン、美容製品など、多岐にわたる製品とサービスを提供することで、多くのマレーシア人の日常生活に深く関わる存在となっています。その革新的なアプローチと顧客中心のビジネスモデルは、地域市場において強い注目を集めています。

CUCKOOは2014年、韓国CUCKOOの投資を受けてホー・キアン・チュン氏によって設立されました。当初は高品質な炊飯器と浄水器を中心に事業を展開しましたが、「健康的な住まいづくり」という明確なビジョンを掲げ、空気清浄機、キッチン家電、マットレス、エアコンなどの分野に迅速に拡大しました。2016年にはシンガポールやブルネイにも進出し、東南アジア地域でのプレゼンスを確立しました。

CUCKOOのユニークなレンタルプランである“GOOODPLAN”は、高品質な製品を月額払いで利用でき、契約終了後に所有権を取得できる仕組みで、多くの顧客から支持を得ています。この柔軟なプランと、充実したアフターサービスが、同社のブランド忠誠度を高めています。

現在、CUCKOOは以下の4つのセグメントで事業を展開しています:

  1. 自社製品 – 浄水器、空気清浄機、エアコン、キッチン家電など。
  2. パートナー製品 – FujiaireエアコンやOgawaマッサージチェアなど、パートナー企業との共同開発製品。
  3. WonderLabとWonderDewi – 美容およびスキンケア製品。
  4. WonderKlean – 室内消毒やプロのクリーニングサービスを含むホームケアサービス。

CUCKOOのビジネスモデルは、顧客にとっての“アクセスのしやすさ”を追求しています。特にレンタルプランは、一括購入の負担を軽減し、多様な顧客層にリーチしています。このモデルを支えるのが、オンラインとオフラインを融合させた「オムニチャネル戦略」と、地域密着型のサービスネットワークである“CUCKOO+サービスグループ”です。

サービスグループは単なるメンテナンスに留まらず、アップグレードや新製品の提案を通じて顧客と強固な関係を築いています。このように販売とサービスを一体化することで、利便性と信頼感を両立しています。

CUCKOOは、製品の品質と顧客サービスの優秀さで多くの賞を受賞しています。同社の浄水器は、「ゴールド信頼ブランド賞」を数年連続で受賞しており、信頼性の高いブランドとして定評があります。また、2023年にはマレーシアの家庭用家電レンタル市場で収益ベースの市場シェア18%以上を達成しました。

2023年から2028年にかけて、家庭用家電レンタル市場は年平均成長率(CAGR)10%で拡大すると予測されています。CUCKOOはこの成長を見据え、新製品とサービスの投入を積極的に進める計画です。さらに、オフィスやホテル、商業施設向けに特化したソリューションを提供することで、企業向け市場にも進出しています。

物流および倉庫システムの強化にも取り組んでおり、顧客基盤の拡大に対応するため、バーコード導入やデータセキュリティ強化などの技術的な改善を進めています。これにより、よりスムーズで安全な顧客体験を提供することを目指しています。

CUCKOOのIPOは、新たな成長のスタート地点を象徴しています。同社はこれからも「健康的な住まい」をテーマに、製品やサービスの進化を続け、顧客の日常生活をより豊かにすることを目指しています。その進化する姿勢は、地域社会にとどまらず、より広い世界での成功を予感させます。的な住まいづくり」という使命をさらに追求するための資源を提供します。革新的なエアコンやユニークな健康ソリューションを通じて、CUCKOOはこれからもマレーシアおよびその先の生活の質を向上させるリーダーとしての地位を維持するでしょう。

ペナンのお粥

ペナンのお粥は、豊かな文化と歴史が交差する場所で進化してきた料理です。中国からの移民が持ち込んだお粥は、地元の食材やスパイスと調和し、ペナン特有のバリエーションが生まれました。この地域では、お粥は単なる朝食ではなく、一日を通して楽しむことができる多彩な料理として定着しています。

ペナンの多様な文化が融合した歴史は、お粥の味にも色濃く反映されています。中国の潮州人が中心となり、古くからお粥を食べる文化が根付いており、潮州白粥として知られています。このお粥は、米を多く使い、煮る方法にこだわり、米粒がほどよく残る食感が特徴です。これに加えて、地元の豊かな海の幸や新鮮な野菜、肉などのトッピングが加わり、ペナン特有の風味を楽しむことができます。

ペナンのお粥は、その滑らかな舌触りと、滋味深い味わいが魅力です。以下にいくつかの特徴を挙げます。

多様なトッピング: 海鮮や肉、野菜など、豊富なトッピングが用意されており、特に新鮮な魚介類を使ったお粥は絶品です。

あっさりとした味付け: 一般的にあっさりとした味付けが施されており、素材本来の風味を引き出すことが特徴です。

薬膳の効能: 一部のお店では、漢方薬を配合したお粥も提供されており、健康志向の人々からも人気があります。

ペナンでは、様々なお粥のスタイルがあります。例えば、潮州白粥のようなあっさりとしたお粥に新鮮な海鮮や肉をトッピングした「香粥」、または、薬膳を取り入れた健康志向のお粥など、それぞれの店で異なる特徴を楽しむことができます。

バクテー(Bat Kut Teh)

ペナンのバクテー(肉骨茶)は、多くの観光客や地元の人々に親しまれている伝統的な料理です。肉骨茶は福建語で「バクテー」(Bat Kut Teh)とも呼ばれ、主に豚肉のスペアリブを漢方薬やスパイスで煮込んだスープ料理です。その名前は「肉骨」(豚の骨)と「茶」(スープ)を意味しており、特に体を温める効果があるとして、朝食やランチタイムによく食べられています。

ペナンの肉骨茶は、他の地域、特にクアラルンプールやシンガポールのものとは一線を画します。ペナンでは、漢方薬やスパイスの使い方が独特で、スープの色が濃く、味わいも深いのが特徴です。シナモン、八角、クローブ、そしてガーリックなどが豊富に使われ、じっくりと煮込まれたスープには、独特の薬膳風味が感じられます。具材には、豚肉だけでなく、豆腐皮やキノコ、時には内臓なども加わるため、食べるたびに異なる食感を楽しむことができます。

肉骨茶の発祥地は、クラン港(Port Klang)とされており、19世紀後半に中国からの移民によってもたらされた料理です。特に福建省から多くの住民が移住してきたことが、この料理の広まりに大きく寄与しました。当初、肉骨茶は労働者の栄養補給のために作られました。クラン港は労働者が多く集まる場所で、福建系の労働者たちがこの料理を持ち込み、広めていきました。ペナンにも同様に福建系の移民が流れ込み、地元の材料と調理法で肉骨茶がアレンジされ、今に伝わっています。当時、肉骨茶は体力仕事をしていた労働者にとって、栄養を補うための重要な食事でした。スープには滋養強壮の効果があるとされ、長時間の仕事で疲れた身体を回復させるために重宝されたのです。

ペナンの肉骨茶を楽しむためには、地元のホーカーセンターや専門店に足を運ぶのが良いでしょう。ペナンには多くの肉骨茶店があり、特にジョージタウンやバヤンバル周辺には名店が集まっています。食べ方としては、白ご飯と一緒にスープをすすりながら、豚肉をじっくり味わうのが定番です。さらに、肉骨茶には「油條」(揚げパン)を浸して食べるのもおすすめです。スープをたっぷり吸った油條は、外はカリッと、中はしっとりとした食感が楽しめ、スープの風味と絶妙にマッチします。

シンガポールの肉骨茶は、ペナンのものとはいくつかの点で異なります。シンガポールでは、胡椒をベースにした透明でスパイシーなスープが主流で、味わいがよりシンプルでシャープなのが特徴です。一方、ペナンの肉骨茶は、漢方薬やスパイスが豊富に使われ、色が濃く、味わいが複雑で深みがあります。また、シンガポールの肉骨茶は豚肉以外の具材が少ないことが多いのに対し、ペナンではキノコや豆腐皮などが加えられることがあり、バラエティ豊かな具材を楽しむことができます。

llaollao(ヤオヤオ)

ペナンは、地元料理から国際的な料理まで、多彩なグルメを楽しめる場所として有名です。そんな美食の街で、観光やショッピングの合間に一息つきたい時におすすめなのが、フローズンヨーグルトで人気の「llaollao(ヤオヤオ)」です。スペイン発のこのブランドは、マレーシアでも急速に支持を集め、今やその名を知らない人はいないほどの存在感を放っています。

llaollaoは2009年にスペインで誕生しました。クリーミーでプロバイオティクス効果のあるフローズンヨーグルトに、フレッシュなフルーツや彩り豊かなソースを自由に組み合わせる楽しさが受け入れられ、瞬く間に人気を獲得しました。2013年にはシンガポールに初出店し、それを皮切りにアジア全域に拡大。現在では、アジアは本国スペインに次ぐ主要市場となり、150店舗以上が展開されています。

マレーシアにllaollaoが上陸したのは2015年です。クアラルンプールの名門モール「パビリオン」に初めて出店し、その後、国中で急速に店舗数を増やしてきました。2023年にはセランゴール州のカジャンに記念すべき100店舗目がオープン。そして2024年現在、全国で121店舗以上を展開し、スペイン発のフードブランドとしてマレーシア市場で最大の成功を収めています。

ペナンでもllaollaoはすっかりお馴染みの存在です。その秘訣をいくつか挙げると、まず一つ目は、高品質な材料を使用している点です。llaollaoのヨーグルトは、ヘルシーでありながらクリーミーで、フレッシュな味わいが楽しめます。また、カスタマイズの自由度も魅力の一つ。ベースのヨーグルトやトッピング、ソースを自分好みに組み合わせられるため、毎回違った味わいが楽しめます。さらに、どんなシーンにも合うのも人気の理由。暑い日のリフレッシュに、食後のデザートとして、さらには友人と楽しくシェアするスイーツとしてもぴったりです。

ちなみに、llaollaoのマレーシアでの運営を担うWoodpeckers Groupは、さらなる拡大を計画中です。llaollaoブランドの拡張だけでなく、タイの人気ティーブランド「ChaTraMue」をはじめとする新しいブランドの導入も視野に入れています。

河粉(ホーファン)

ペナンで味わえる河粉は、単なる麺料理ではありません。その一皿には、中国南部からの移民の歴史と、マレーシアの多様な食文化が複雑に絡み合っています。

河粉と、よく似た粿条との違いをまず明確にしておきましょう。河粉は平たく幅広で、滑らかな食感が特徴です。スープと一緒にいただくことが多く、ペナンでは特にエビやチキンなどのトッピングとともに、あっさりとしたスープで提供されます。一方、粿条は河粉よりも薄く、炒めて提供されることが多いです。炒粿条のように、ソースや調味料を吸い込み、しっかりとした食感が楽しめます。

ペナンの河粉は、広東省や潮州、汕頭などの中国南部から移住してきた華人たちが持ち込んだ食文化が根底にあります。彼らの故郷で食べられていた米粉料理をベースに、マレーシアの地で独自の進化を遂げたのです。ペナンの河粉は、スープベースで提供されることが一般的で、軽やかでありながら深みのある味わいが特徴です。

ペナンと同様に河粉が有名なイポーでは、よりクリーミーなスープでいただく河粉が特徴です。19世紀末から20世紀初頭にかけて、イポーにも多くの中国系移民が流入し、特に広東系の移民が河粉文化を根付かせました。このように、マレーシアの河粉文化は、移民たちの歴史と密接に結びついており、それぞれの地域で独自の進化を遂げてきたのです。

Kaya Toast(カヤトースト)

カヤトーストは、バターとカヤ(ココナッツジャム)を挟んだ2枚のトーストで、伝統的にコピ(コーヒー)や半熟卵と一緒に提供されるシンプルながら満足感のある一品です。マレーシアでは朝食として人気があり、特にコピティアム(伝統的なコーヒーショップ)やホーカーセンター、フードコートなど、様々な場所で手軽に楽しむことができます。ペナンも例外ではなく、街中の食堂やカフェでカヤトーストを見かけることができ、その素朴で甘い味わいが現地の食文化に深く根付いています。

カヤトーストの歴史は19世紀にまで遡ります。当時、海南島からの移民がイギリスの船に乗り込み、船上で料理を担当していました。彼らはイギリスの朝食文化を参考にし、果物のジャムの代わりに、手に入れやすいココナッツを使ってカヤを作り上げました。カヤトーストはこのようにして生まれ、彼らが定住した地域、特にマレーシアやシンガポールで広まっていきました。

シンガポールでは、カヤトーストは特に政府の観光促進活動を通じて広く知られるようになりました。1994年には、シンガポール観光局が開催したフードフェスティバルで、カヤトーストが代表的な地元スナックとして取り上げられ、その後も観光客向けのシンボル的な料理として認知されてきました。また、フィリピンでもカヤのバリエーションがあり、「マタミス・サ・バオ」という名前で、卵を使わないバージョンのカヤが親しまれています。

一方、カヤトーストはその地域を超えて、シンガポールやマレーシアだけでなく、タイやインドネシアでも似た料理が存在し、広い地域で親しまれています。それぞれの国で若干のアレンジが加えられているものの、基本的にはココナッツミルクと砂糖、卵を使った甘いスプレッドであることに変わりありません。

ペナンにおいても、カヤトーストはコーヒーやお茶と一緒に楽しむ定番の朝食や軽食として愛されています。その昔、海南の移民たちが持ち込んだシンプルなレシピは、時を経て地域ごとの個性を持ちつつも、今もなお人々に愛され続けています。